Reference Manual For Kyushu-u Std Cell Lib.
ライブラリのバグと修正 
- バグの原因と修正
- 検証用のTEGチップに対して,LSIテスタによる検査を行なった結果,
すべての組合せ素子 (ラッチとフリップフロッ
プ以外のすべてのセル)は,全入力パターンに対して正常
に動作することを確認しました.
- ラッチとフリップフロップ に関しては,LSI テスタによる故障検査の結
果,以下のセルで誤動作を確認しました.
- DL (D-latch)
- DLP (D-latch, powerd)
- DLRP (D-latch with low reset XR, powered)
- SDFX (Scan D-flip flop, inverted out)
- DLNZP (Tri-state Latch, with active low XG powered)
- SDFSRP4 (Scan D-flip flop with low reset XR, low set XS, x4 powered)
- DFSRP (D-flip flop with low reset XR, low set XS, powered)
- DLNXP4 (D-latch, inverted out, with active low XG, x4 powered)
- DLNSRP (D-latch with low reset XR, low set XS, low active XG, powered)
- バグの原因は,ライブラリ開発の際に手動でVIAを移動した後,セルのス
マッシュ(階層を平坦にする作業)が完全に行なわれていなかったことだと分か
りました.VIA を移動させたのは,NEL0.5μmのルールが,ゲート(POLY)のエッ
ジにまたがってVIA を打つことを禁止していたためです.
下図のちょうど中心に位置するVIA が手で移動させた後スマッシュが
完全でなかったために,AquariusXO が認識しなかったVIA です. このVIA の左端に接触している配線は論理的には接触してはいけない
配線です. このようにしてバグが発生してしまいました.

- テスタによる検査および,TEGチップ全体の回路シミュレーションの結果,
誤動作が見つかった上記の9種類のセルのうち 3〜9は,SDFX に接触した一
本の配線が原因で誤動作を起こしたいることが分かりました.つまり,このこ
とから次のことがいえます.
- 上記のセルの中には,本来はバグを含んでいない
が,バグ入りのセルの巻き添えを食っているセルがある.
- 上記のセル以外にも,エラーを引き起こす火種を
持つバグ入りセルが存在する.
- 我々は,DIVAでLVSを実行できる環境を整え,TEG チップに対してLVS を
実行したところ,テストとSPICEシミュレーションにより
見つかったすべてのバグを,LVS により見つけることができました.
我々の準備したLVSの環境が正常であることが確認できました.
- 上記の9個のセルに加えて TIE (信号値をHigh また
は Low に固定するための素子) にもバグがあることが分かりました.
バグの内容は,AquariusXO が TIEセルに配線してくれないというものです.
にもかかわらず,AquariusXO の LVS は No Error を返します.TIEセルのバ
グの原因は,詳しくは解明していませんが,TIE1(常にHigh を出力するセル)
とTIE0 (常にLow を出力するセル)を新たにつくって対処したところ,上記の
エラーを取り除くことができました.
- 次節の バグ事例紹介 に示すチップに対
してDIVAでLVS を実行し,エラーが見つかったセルは,TIEセルを除いてすべ
て手動でVIA を移動させたセルにカバーされていることから,バグの原因は
VIA を手動で移動させた後,スマッシュが完全に行なわれていなかったという
ミスとTIEセルのバグがすべての原因であると,断定しました.
- 手動でVIA を移動させた後スマッシュが完全に行なわれていなかったセ
ルは以下に示す通りです.
- DL (D-latch)
- DLP (D-latch, powered)
- DLSRP (D-latch with low reset XR and low set XS, powered)
- DLN (D-latch with active low XG)
- DLNP (D-latch with active low XG, powered)
- DFX (D-flip flop, inverted out)
- DFXP (D-flip flop, inverted out, powered)
- DFR (D-flip flop with low reset XR)
- DFRP (D-flip flop with low reset XR, powered)
- DFRP4 (D-flip flop with low reset XR, x4 powered)
- DFRX (D-flip flop, inverted out with low reset XR)
- DFRXP (D-flip flop, inverted out with low reset XR, powered)
- DFRXP4 (D-flip flop, inverted out with low reset XR, x4 powered)
- SDFX (Scan D-flip flop, inverted out)
- SDFXP (Scan D-flip flop, inverted out, powered)
- DLNZ (Tri-state Latch, with active low XG)
- DLNZP (Tri-state Latch, with active low XG powered)
- DLNZP4 (Tri-state Latch, with active low XG x4 powered)
- バグの事例紹介
- TEG CHIP (九大)
- DL, DLP, SDFX, DLN, TIE に合計 4箇所のショートと 2箇所の
openが見つかりました.
mergenet.out
- エラーの原因となるセルは,18個使用されています.
- CACHE CHIP (九大)
- DLNP内に合計 1箇所のショートが検出されました. mergenet.out
- エラーの原因となるセルは,10個使用されています.
- PROCESSOR CHIP (九大)
- 167セルにショートがあり,そのすべてがDFR内のショートでした. mergenet.out
- エラーの原因となるセルを369個使用しています.
- 修正ライブラリの検証
- 手動でVIA を移動させたセルのスマッシュを確実に行ないました.
- 修正ライブラリの検証のために
DIVAでLVS を行なえる環境を整えました.
- 修正後のセルライブラリを使ってTEG チップを再設
計したところエラーは検出されませんでした.
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Bug Elimination in the Library
Edited by Tohru Ishihara